ヒューム「ベルグソンの芸術論」(6)/藤原 実
もならなかった、と聞きます。モダニズムのコトバの錬金術をそのまま舞台にもちこんだような寺山の演劇はハプニング的要素が強すぎたのでしょうし、素人ばかりを舞台に上げて好きなことを叫ばせるなど完成度を度外視したキャンプ的演出が高尚な演劇好きのひとたちによく思われなかったであろうことは想像がつきます。
そして演劇だけでなく詩の世界においても寺山修司の評価というものは微妙です。
『寺山修司コレクション2 毒薬物語』(思潮社)によせた文章の中で荒川洋治は寺山のコトバの取り扱い方に機械のような手さばきを感じ取っています。
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「…言葉の操作に、人間ではなく何か機械的な物の触手を感じる。
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