ヒューム「ベルグソンの芸術論」(6)/藤原 実
 
にすぎない。ハプニングの場合には、この生贄(スケイプゴート)は観客なのだ。



このソンタグの「ハプニング---ラディカルな併置の芸術」を読んでいると、まるでこの文章が寺山修司が演劇へ向かう際の水先案内人だったのではないかという不思議な思いにおそわれます。実際にはこの一文が収められたソンタグの『反解釈』が出版されたのは「天井桟敷」の旗揚げ前年の1966年、翻訳されたのはずっと後のことになりますから、そういう関係ではなかったと思いますが。

「天井桟敷」は海外では高い評価を受けながら日本では「アングラ」という風俗のひとつの現象としかみられず、長い間まともな演劇としての批評の対象にもな
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