誕生と死後硬直(スピード)/ホロウ・シカエルボク
 
には自然界のことわりがある、おれはひとりで大地のようなものなのかもしれない、そうだ、世界とは、状況を限定しない広がりのことに違いない、おれは考える、おれの体内にあるものは、おれの体内を突き抜けているのだ、その中にある運動の広がりは、おれ自身という存在を維持するために、広大なスペースを必要としているのだ、おれにはそのことが判り始める、すなわち世界とは、生命の果てしないレースだ、それは生まれたときに始まり、死ぬときに終わる、だからこそ、おれのスタートからゴールまでの間にも、無数の死が用意されている、いくつもが生まれ、いくつもが死んでいく、受胎や墓標や記念碑が、いくつも用意される、そして破壊されていく、
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