誕生と死後硬直(スピード)/ホロウ・シカエルボク
つだってそんなことはあっただろ、だけどそんな確信は掻き消され、チューブの感触が脳髄を馬鹿にする、速過ぎる、減速しろと脳髄は信号を送る、スピードを落として、見なければならないものをちゃんと見ろと、掴まなければならないものをちゃんと掴んで来いと、だけど、だけど、だけど、チューブのなかを駆け巡るものにはそんな言葉は届くことはない、そうさ、速過ぎるのさ、いつだってあいつらは速過ぎるんだ、おれのしてきたことはすべて、やつらがずっと前に通り過ぎた道を犬のように鼻を鳴らしながらあとを追ってゆくようなものさ、なあ、そいつは決して追いつくことなんかできないんだぜ、それが判っていながら追いかけている、何故も何もない、
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