誕生と死後硬直(スピード)/ホロウ・シカエルボク
い、やつらがそうして通り過ぎたあとを追うことを、おれは選択したからだ、追いつくか追いつかないかの為だけじゃない追跡だってある、その臭いを嗅がなければ、その温度を感じなければ、おれの見つめるものがすべて嘘になってしまう、おれの見つめるものが嘘になってしまわないように、おれはそのあとを追わなければならないのだ、やつらはいろいろなものを残してゆく、それがなにかを確かめている暇はない、それがどんなものか確かめていては絶対に間に合わなくなる、とりあえず拾い上げる、そばに落ちているものだけを、それを抱えたまままた走る、走っているうちにいくつものものが零れ落ちてしまう、残されたいくつかが鈍い光を放つ、そしてまた
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