暗い道端で/砂木
ことがなかった
そんな事があるのは特殊な事で
会社帰りの普通の格好の地味な女に
突如として訪れる危機だとは考えもしてなかった
悔しい 人を馬鹿にして
しだいにこみ上げてくる怒りと恐怖
女友達は何も言わなかったけれど
彼女がいなければ 都会の暗がりで
どうなっていたかわからない
女友達のお陰で 何事もなくすんだが
帰郷しても 家族には言えなかった
ただ暗い道に一人少しの間立っただけでも
まるで私が誘ったように親に見られたら
どうしたらいいかわからなかった
そんな事はしていないのに言えなかった
笑い話にできるようになったのは 年をとってから
会社の人達が 道
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