【批評祭参加作品】遊びごころという本気 ー辻征夫試論ー/石川敬大
、言葉自体にね、実用とはちがう構造体に結晶していく性質があるんじゃないかと思う。(中略)そういう機能が敏感にはたらくように、長い時間をかけて自分を訓練したやつが詩人だと思う」「読書から得たものも、他人の経験も、人間の経験として自分の中にあるんですね。そういうものを全部総合して、一篇の詩ができたらいいなと思っている」「詩人というのは、あるとき、その時代の言葉が通り過ぎる場所なんじゃないか」辻は、『俳諧辻詩集』の連作詩篇を書くにあたって「現代詩は痩せすぎたのではないかという思いから(略)江戸以来の俳句は簡潔な認識と季節感の宝庫であり、それは気がついてみれば現代詩にとっても貴重な遺産だった」と書き、『蛙
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