【批評祭参加作品】近代詩へのリンク ー富永太郎試論ー/石川敬大
 
、近代・現代詩の歴史を考えた時に欠かすことのできないひとつの系譜として、英米文学の西脇順三郎を経由し、クレオール的(野村喜和夫)な金子光晴を横目に見て、仏文の渋沢孝輔、安藤元雄、入沢康夫さらに次世代の朝吹亮二、野村とつづく外来詩の連嶺が背後に見えてはこないだろうか。実際、近代日本にとって時代の節目で停滞を乗り越え、遭遇した文化の思潮と軌を一にした欧米との精神性の往復運動が将来においても継続されることが予想される。だが事はそう容易くはないだろう。帝国主義的植民地政策から始まったグローバル化は世界同時発生的に均質化へと向かって突き進み、文化の衝撃力は漸減され、無効という零のクライシスを抱え込んで現在が
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