【批評祭参加作品】書くということについて/kaz.
 
する姿勢だった。実を言えば、詩壇が今どうなっているのかということや、文学というものが何なのかさえ、文学極道を知った当時の私は考えたこともなかった。私はハイデガーの名前さえ知らなかったのだ。詩なんてのは、偉そうなじっちゃんが、適当に言葉を弄んでいるだけだ、と思っていた。けれども、彼が散々テクニカルタームを振り回して言いたかったことは、きっとこういうことなのだろう。「詩とは何か、という問いでは、もはや答えられない。書くこととは何か、書くことで答えろ」――こんなのは、私の想像に過ぎない。だいたいダーザイン氏の言説を細かく分析した訳ではないのだから、彼を当惑させるだけかもしれない。けれども、彼らが一様に現
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