【批評祭参加作品】書くということについて/kaz.
 
され、過去に生まれた詩は過去に生まれた答えとなる。以上のことから、詩を書くことによって、あなたは詩とは何かという問いに答えているという暫定的な帰結が生ずる。詩とは何かという問いに詩でもって答えているのである。実を言えば、こうしたことは、小説、文学、絵画、芸術それ自体についても同様である。つまり作品の名を冠するものすべてにおいて言える。簡単に言ってしまえば、作品は、それ自体それを巡る問いの、ひとつの答えである。

こうしたことは、帰納的な推測によっても導かれうる。数多くの作品の中から、詩とはこういうものだ、という答えを導いたとする。その場合、それにはあなたの詩がその答えの範疇にあるかないかという
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(3)