歩道橋についての夕方と朝方/ブライアン
ら陳腐だ。愛してるとか。今にして思えばや、かつて、という前置詞がないとうまく語れない。いつも、時間が体験を忘却の中へ押し込めようとする。そして、多くのことを忘れてしまったとき、ふと、言葉だけが残る。そうか、その言葉を書き残そう、と思う。残したからといって、残るわけでもない。もっと大きな時間が、忘却の中へと多くの存在を押し込めようとする。その時、残るのは何だろう。言葉も忘れ去られ、残されたものは何だろう。
国道113号線にかかった歩道橋も、国道17号線にかかった歩道橋も、いつか取り壊されるだろう。多くの人がカメラにその姿を写す。何十年後に一度、テレビのようなマスコミが特集を組む。何十年前の日本の
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