歩道橋についての夕方と朝方/ブライアン
。もう忘れてしまった。朝日は昇っていた。急いで歩道橋へ戻る。力強い光が世界に放たれる。バックにしまったカメラを取り出す。きれいな写真でなくてもよかった。レンズを朝日に向けて、写真を撮った。朝日が昇った。階段を降りる。とげ抜き地蔵へ向かう。人はいなかった。
もう、多くのことを忘れてしまった。時間を経て、過去が忘却の中に押し込められようとしている。だけど、忘却から救い出そうと言葉にしたわけではない。言葉はいつも不完全だ。誰だっただろう。愛は愛より以上のものである、といった。言葉はいつも言葉以上のものを表そうとして失敗する。言葉は過去しか語れない。だから、今起きていることを言葉にしたら陳
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