歩道橋についての夕方と朝方/ブライアン
 
槌を打つように苦笑いする。朝日が見たい。朝日を見れたら、きっとこんなに苦しまなくてもいいはずなのだ。歩道橋から見える墓地。朝日はあがらない。墓地の周りを散歩する人と犬。まだ、朝日は昇らない。歩道橋が揺れる。大型車が通過した。思わず下を眺める。もう、辺りは明るかった。道の向こうには橙色光が見え始めていた。その光は上空に行くにしたがい薄まり、淡い色となっていた。だが、朝日は昇ってはいない。
 歩道橋を降りる。家にたどり着けないなら、近くの道端で眠ればいい。盗られる物はもう全部盗られた。もう、一生路地で眠りながら過ごしていけばよい。
 階段を降りた時だっただろうか、もう随分歩いた後だっただろうか。も
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