歩道橋についての夕方と朝方/ブライアン
 
必死に鼻血を抑えようとした。だが、何ももっていなかった。ワイシャツを鼻に持っていき、無理やり鼻血を抑えようとした。目の前にいた男性は、ポケットティッシュをかばんから取り出し、差し出してくれた。
 巣鴨駅で降りる。ワイシャツの赤い血が目立ったので、鼻にティッシュをつめたままにした。警察にでも捕まったらめんどくさい。いち早く眠りたかった。ちょうど朝日が昇ろうとしている頃だった。国道17号線にかかった歩道橋の上に昇ると、夜明けを写真に収めたくなった。もらい物のトートバックから使い捨てカメラを取り出す。写真を構えたまま待っていた。
 当時、アルバイトを二つ掛け持ちし、一週間の睡眠時間が七時間ほどだった
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