歩道橋についての夕方と朝方/ブライアン
す。時間帯も季節も分からない。どんな格好をしていたかも記憶にない。夕方、彼女の家を出ると辺りは暗かった。自転車にまたがり、自宅へ帰る。いや、きっと冬だった。その日、自転車にまたがった記憶はない。蛇行する農道を一人で歩いて帰った。寒い日だっただろうか。雪はとても積もっていた。真っ白になった田んぼのうえに何度も何度も身体を預けながら帰った。
大人になったとき、彼女は違う男性と結婚した。僕は違う女性と結婚した。
上京してからの記憶のほうも、もうほとんど消えてしまっている。その日は鼻血を出した。山手線で眠っている時だった。ふと気が付くと、鼻血が白いワイシャツに赤いシミをつけていた。驚いた。必死
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