かぐや指/salco
 
らも一向に引き抜
けないのです。
「えい畜生、腰に来る」
 頭にも来たお婆さんは、最初からこうすれば良かったんだよとばかり土
間から肉切りナイフを拾い上げると、指の第二関節に突き立てました。い
え、突き立てようとしたのです。

「ギャッ!」

 混声の叫び声が上がった瞬間、何かがお婆さんの右目に突き刺さってい
 ました。
「ナメた真似するんじゃないよ」
 ごく間近で小さな声が言いました。それはリリック・ソプラノの、しか
し鋭い声でした。尖った爪が眼球に食い込み、ぐりぐりと回転しながら中
心を貫きます。声帯にもとうに艶のないお婆さんは、
 グエエエエエ
 と、どちらか
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