かぐや指/salco
 
終始世間に唸りを聞かせるわけでした。もち
ろん、実相的には何の威力もない無能者ですから、実効性において大し
た実害を及ぼす道理も無いのですが。

 こうして目に入るもの全てに対する不平・不満がお婆さんの原動力と
なっていたものの、もはや棺に肩まで浸かった齢ともなれば、我が身の
明日を寿ぐ理由も失せてはおります。要は貧しい年寄りに、一体これか
ら何ができるというのでしょう。
 思えばテロリズムなどという、錯誤中毒者の大義もこの時代には流布
しておりませんでした。吐き捨てられたガムや、せいぜいが道端の犬の
糞ほどになった人殺しの肉片を英雄と呼ばわる誤謬に酔うほどのヒマ
が、酒精厳
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