かぐや指/salco
エレクトスな脊柱の為に、四つ足歩行はどんな下等な畜生よりも
不様で緩慢にならざるを得ません。
元来エテ公より速く走れたためしも無いくせに、前肢を自在に振り回し
て闊歩する事で、地平を睥睨するかのような優越感にしがみついて来た人
類が地面を這いつくばる時、その姿は無力な赤ん坊や虫けらさながら。ご
自慢の大脳新皮質や飛び道具も大した方便にはならないものです。
次第に日は傾き、何匹ものフンコロガシに傍らを追い抜かれ、死ぬ思い
で戸口に辿り着いた時には、口の中まで砂まみれのお婆さんは文字通り墓
から甦った悪鬼さながら。ごま塩頭を振り乱し、白眼を剥いて何やら吼え
るその様に、出迎えたお
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