月のとびらとうそ/ズー
わたしのベッドが
まだ、暗い空に
飛んでいきます
頭から夜の続きに
衝突して
夜が砕けていく
「すみません。さむいからおろしてください。」
ささやかな願い事にも
毛布を巻き付けていた
わたしを乗せて
だらしなく乱れた
シーツの端から
軋んでいる四本足が
見え隠れしていました
ここらへんの朝は
わたしのベッドの
仕業なのです
どこかでせき止められた
車や人のせせらぎが
ひとつ、ひとつ
濃淡の異なる夜を
終わらせる為に
ぶんべんしつ、
そういう、なまえの
場所に集まって
お互いの話しを
興味もないのに
交換していた
僅か数時間
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)