バルコニウス/番田 
 
もしたいと思わなかった
部屋でテレビをつけた
今日も甘酸っぱい カクテルの香りが漂う
浴びるほどに酒を飲んでいたのはいつのことだったか
若い頃の元気さは今の私には無い
年老いたものだと ぼやいた
そんな風にして 今日も私は自然さを失っていく
街をぼんやりさ迷っている


ぼんやり年老いて行くのかもしれなかった
それとも 一体 私は何者だろう
暗い影にまみれた家路を歩くのは私は難しいこと
日曜日の夜の 暗い鏡が目に浮かぶ
月曜日の太陽が誰かを 迎え入れるだろう
誰一人拒むことの出来ない現実だ
私は 現実を見た
灰色のアスファルトを 歩いた
緑の草花が見えた
時が
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