バルコニウス/番田
時が流れた
私は眠った
防腐剤の匂いが 漂った
狭すぎる都会のマンションなど
住んでいる心地はしなかった
死んだような顔をした人々と いつも すれちがう
私の顔は 死んだ
*
ここは 人の住むべき世界ではないのだ
そうして漂った
声が聞こえた 気がした
動物たちが空を駆け抜けていく
何もかもがどうでもいいのかもしれなかった
架空である 空を 目にした
雲が白かった
雪が白く 舞いしきっている
自分自身に真剣になっている人間に いつも会ったことはない
何かに真剣であることなどすぐにやめさせられたから
誰一人 そうすることなど やめてしまった
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