バルコニウス/番田
た
何も 見えなくなった
見知らぬ遠くの街角で
夜に吹かれていると 何か眠くなる
死にたくならないのは きっと 人だけだ
私は金魚を飼ったことがある
色とりどりの模様が 心の中には残っている
誰も知らない日曜日
映画館の座席に ひとり 腰掛け
座っているかもしれなかった
座っているのではないとする
私は 過去に 身を任せているだけ
*
思いを浮かべた
何者かによって 沈められる時を 待った
きっと
赤く 消えていくのは 丸い 夕暮れ
今日も 人々が 歩いて
影が そこに 揺れる
何も知らない子供に魚が釣れるのはなぜ
仕掛けが新しいからだと よ
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