バルコニー/番田
草が見えた
時が流れていた
私は笑った
道で 防腐剤の匂いがしていた
狭すぎる 都会のマンションなど
住んでいる心地が いつもしなかった
死んだような顔をした人と また いくつも すれちがう
私は笑った
*
ここは きっと 人の住むべき世界ではありえないのだろう
そうして 眠った
歌が聞こえた気がした
動物たちが 空を駆けていく
何もかもがどうでもいいと思った
架空である 世界を 私は目にしていた
全てが 白かった
雪が降ってくる
自分自身に真剣になっている人間などとは いつも 会ったことはない
何かに真剣であることなど 回りにすぐにやめ
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