バルコニー/番田 
 
草が見えた
時が流れていた


私は笑った
道で 防腐剤の匂いがしていた
狭すぎる 都会のマンションなど
住んでいる心地が いつもしなかった
死んだような顔をした人と また いくつも すれちがう
私は笑った



ここは きっと 人の住むべき世界ではありえないのだろう
そうして 眠った
歌が聞こえた気がした
動物たちが 空を駆けていく
何もかもがどうでもいいと思った
架空である 世界を 私は目にしていた
全てが 白かった
雪が降ってくる


自分自身に真剣になっている人間などとは いつも 会ったことはない
何かに真剣であることなど 回りにすぐにやめ
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