そして誰かがお終いの合図を出すのを待つ/ホロウ・シカエルボク
 
があるだろうか?
秒針の音がまるでしない時計は
油を注し過ぎたからくりのように
慣れ過ぎた仕事のようにゆっくりと回っていく
この部屋では多分刻むのは俺の役目なのだ
カーテンを開け放して街の明かりを眺めている
陽気な声がこだましている
誰だって少しぐらい薄暗くならなけりゃ
本当に叫ぶことなんて出来ないのかもしれない
今日最後の路面電車が通り過ぎてからもうどのくらい経ったのだろう?
数えられないものほど数えてしまうんだ、いつも
数日前の雨の匂いはとっくに消えてしまって
渇いた街の上に立つやつらはみんなどこか
ひとつの出来事が終わってしまったみたいな顔
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