ヒューム「ベルグソンの芸術論」(5)/藤原 実
 
「西脇教授は、『荒地』をエリオットの、全くのふざけたものとして極上のもの、と言っておられる。これは違う。『荒地』はエリオットの、正しく、真剣な、現代批判として読まれねばならぬ。」といったものであったそうです。
土居を怒らせた---西脇による『荒地』翻訳の〈あとがき〉---のは次のような一節です。


「エリオット氏はこの詩に関しては近来稀れにみるparodyの詩人でもある。この点からみても、この詩が現代最大なシャレた詩であるということにもなる」


土居光知や鮎川信夫のようなマジメなひとたちにとっては、『荒地』の詩人は二十世紀の危機を一身に背負って苦悩する存在です。でも西脇
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