ヒューム「ベルグソンの芸術論」(5)/藤原 実
西脇順三郎にとっては、エリオットは機知と諧謔の天才的パロディスト、なのでした。
西脇にとって『荒地』はまず、「意識の流れ」の手法を大胆かつ広範に使用した最初の試みという点で最も尊敬されるべき記念碑的作品であり、「正しく、真剣な、現代批判」などというものは材料にすぎません。「意識の流れ」という枠組みを据えることによって「引用と聯想」を縦横無尽に作品に流し込むことができたのでした。
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「エリオットの詩の美は一つの場面、一行の文句としての美ではなく、一つのオーケストラの構成美であって場面と場面との結合、思考と思考との結合において構成されているのである。
…遠いものゝ結合の面白味か
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