ミツバチのアルツハイマー/和田カマリ
ウと息を吐いた
危ない所だった
脇道の景色もまた酷いものだった
蟻塚のような建物
僕達人間の昆虫的な
悪い側面が顕著に現れた
地獄のような街並
このように草も木もない
砂漠のようなところでも
人は生きなければならないし
現にこの俺も生きているのだけど
髪の長い女が一人舗道にいるのが見えた
目がシパシパしだした
僕は性的に興奮するとこうなる性質だ
三つ考えがあった
引き戻して本流に帰る事
ナンパして女の家に行く事
車で突っ込んで女をぺちゃんこにする事
一番に是非
女の家に行きたかった
きっと彼女のねぐらも
どこかの蟻塚に違いないだ
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