薬が効かない/三条麗菜
深い森の中に鉄路が走り
群青色の電車が
静かに進んでゆきます
鳥のさえずりを
消さないように
私は食堂車にいて
甘い紅茶をすすりながら
ゆっくりと流れてゆく
外の景色を見て
鳥たちの声に
耳を傾けます
それにしても
薬が効かない
この電車を作る
どの材料がアレルゲンなのか
分からないけれど
私は昨日も寝る前に咳込み
それがあまりにひどく
胃の中身がほとんど
出てゆきました
寝台車のシーツは汚れても
そう何度も替えてはくれません
私は薬をもらいましたが
まるで効かないのです
電車を降りるわけにも
いきません
それに昼間は別に
何と
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)