ライト/番田 
 
。脱線しそうなほどにカーブした、イギリスの鉄道の線路を思い浮かべる。パリに通る地下鉄は数百年の歴史があるとのことだ。そんなことはどうでもよかった。私は、手がかりのあるものだけがほしいだけだ。


労働者が先を争うように家路を走る。日曜日の深夜のタクシーのような、強引さを思わせる。そんなことはどうでもよかったのかもしれない。私は駅を目指して歩いていった。駅はそこにあり、時は止まることなく回り続ける。交わされた契約どうりの時間に職場の扉を押さなければならなくなっていた。代わり映えのしない給料に誰もが落胆しているような言葉の匂いがしているような、何かそんな感じがしていた。何にも無いのなら未来を信じ
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