スカイプ連詩「閉鎖病棟」森川茂/フライハイ/within
 
場所に閉じ込められるはずじゃなかったのに

歩けばすぐに突き当たる囲まれたセカイ
奇声が上がるのが当たり前のセカイ
暴力を否定しながらも力で均衡をとっているセカイ
断線しているセカイ
無為なセカイ

白い服を着た女の人が「点滴ですよ」とやってくる
何を点滴されるのかすら解らない
わたしはなすがままに傷だらけの白い腕を差し出し
浮いた血の管に針が刺し込まれてゆく
そしてこんなものが何になるのかと思いながらそっと瞼を閉じる

やってくる眠気にまかせ
わたしは浮遊する
痛みも苦しみもすくいとってくれるのは
かみさまではなく
あくまのしずく

苦しみが薄れた後には
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