道標はなるべく愉快に/ホロウ・シカエルボク
 
にその地面にじっとしていたが、やがて自分がまだ死んでいないことが判って、草の臭いのする方へ這いずって行こうとした、その時地鳴りが聞こえ…彼の目には巨大な影がすごい速さで自分の方へ向かってくるのが見えた、ああ、と思う間もなく彼の身体は踏みつぶされ、飛散した…彼は魂となって泡のように空に浮かびながら、世界は広すぎるんだ…とひと言だけ呟いた…


ソリストが取り組んでいる反転された楽譜にはだいたいそういった内容のことが書いてある、だけどそれは彼にはまるで判らない言葉で書いてあり、判らない手法で作曲されている…だから彼は反転したものに取り組んでいるのだ、彼は感覚で持って理解を越えようとしている、そ
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