道標はなるべく愉快に/ホロウ・シカエルボク
 
だ、そんな鏡の前にいることの気分なんて、そこにいるそいつにしか絶対に判ることはない…しかも厄介なことに、それが避けて通れないものだと、そしておそらくはここだと定められた期限がそこにはあるのだと…ソリストには確かにそのことが判っていた


巨大な河の上では雨に流された一匹のムカデが窒息の恐怖に耐えながら身体を揺らしていた、彼は(それをそう呼んでいいのかどうか判ることはないが)小枝とともにその流れに乗った、小枝は高みから落ちたときに足元から離れ、彼は自分の身体ひとつでなんとか凌ぐしかもう道はなかった、身体をくねらせて…彼の脚はどう見たって泳ぐのに適したものには見えなかったから…ああ、と彼は思っ
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