君は引鉄を引きたい/ホロウ・シカエルボク
潰れたゴキブリのように天井に貼りついている
それは君のこめかみに新しい銃口を突き付ける、そう
綺麗に油を指して磨いた上等の銃
そいつは君に「忘れるな」と言いたいのだ
そして君が
もっと激しい火薬に手を伸ばすその時を
今か今かと待ちわびているのだ
静かな日付変更線の匂い
誰かが鼻歌を歌いながら窓の下を通り過ぎる
野良猫は空家の屋根にばらまかれた御馳走のために
その日一番の跳躍力を発揮する
繋がれた犬は犬小屋の中で
首輪のない自分の夢を見る
橋の上の鳩は迂闊な真似をして
80キロで北へ突き抜けるオデッセイの餌食になる
誰かの焦燥
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