君は引鉄を引きたい/ホロウ・シカエルボク
夜は流れてゆく時に
昨日の温度を連れてゆくから
君は目を閉じて
手足をいっぱいに伸ばしているといい
送り忘れたメールと
入れ忘れた予定のことは
もう、とりあえず
気にしなくていいから
低い雨雲の上を
飢えたひとの心が
ナマズのように進行していく
出口を探してるみたいに
時折覗く月が
そいつに
妙に綺麗な装飾を施して…
言葉が途切れるとき
君は本当に詩人
言葉が途切れるとき
言葉が君からいなくなるとき
遮光カーテンを滑らせて
君はアンコールを拒否する
ショーに慣れた観客たちは
それを良しと
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