少年は、そのベッドに他人が寝ているような気がした/真島正人
身代わりとして
ここで目が覚めたのに
過ぎないのではないのか
少年は
あくびをして
頭をかき
馬鹿馬鹿しいとつぶやいて
シーツを
めくった
そこにあったのは
やはり
空白だった
でも少年はそこに
ブラックホールのようなものが
存在しているような気がして
急いで
シーツを
元に戻した
シーツは動かない
そこには
何もいない
少年は
深呼吸をして
もう一度
シーツをめくり
今度は目を閉じて
シーツの中にめくりこんだ
ひんやりとした
ベッドの感触が
少年をやさしく
包み込み
そこには
いかなる
違和感もない
それで
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