お代り/小川 葉
 


お代り、と言って
空の茶碗を掌に持ち
伸ばした腕がどこまでも伸びていく

伸びきったところで
祖母が茶碗を受け取って
傍にある炊飯器のご飯を茶碗に盛る

おばあちゃんのお代りは
多すぎるから、と
嫌な顔をすると
いっぱい食べなさいと
泣きそうに笑う

居心地の悪い母が
今日も裏口に泣にいく
父はビールを飲みながら
巨人以外のファンだと言って
今夜は広島を応援してる
わたしは巨人が好きだったけど
父には言えなくて
祖母がよそってくれた
大盛りのお代りを食べてしまう

まだ幼い妹は
ご飯にふりかけをかけて
ふりかけがかかったところだけ食べ
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