夢夢夢。/番田 
 
あたりを飛んでいるのか。何一つ思い浮かびはしなかった。新しい服が必要だと思った。紫色のジプシーのような色の服がそこで思い浮かぶ。美しいと私は思った。喫茶店でコーヒーを飲みたい。紅茶でもかまわないと思った。死んだっていいのだ。人のうらみは買いたくはない。おいしい食事をとれていれば幸せだ。健康であるということだろう。名誉もお金も欲しくはないよ。それがありさえすれば。寂しい気持ちになっている。楽しい気持ちに憧れる。そんな連鎖を繰り返すことの無意味さ。


誰の言葉も聞こえない。聞こえるのは鍋の煮える音だけだ。ドラマのような光景に憧れている。都会的な景色の中で、素敵な人と思いを遂げたい。そんなことは
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