長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
このように顕現した愛の神聖な正体を初めて見た者達
つまり眼中無痛の愛に盲となった召人達には
更なるお楽しみが待っている
それは離乳食を吐き散らかし
掴んだ物を何でも歯茎と舌で調べ始めた貪欲な皇帝が次々披露する
人類進化の驚異である
それはあたかもボノボの森でクロマニヨン人が誕生するまでの百万年を凝縮した鮮烈な1年間だ
否、むしろ魚類からの直立歩行と言うべきか
そして生後わずか1年の人類は
声帯から洩れ出る高音を感情表現以上の伝達手段として
まずは咀嚼と同じ動作からもぐもぐと、
しかし呑み込むのではなく吐き出す操作を発見する
食道からミルクを吐くよりそれは、何とまだるっこしい
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