長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
 
飢渇と排泄の不快を訴えるだけの闖入者が
一心に乳首を吸いながら愛くるしいチンパンジーのような瞳でじっと見上げる時
あまつさえその繊細な半透明の指で穢れ者どもに贖罪を施し
天使の微笑で祝福を垂れる時
かほどに荘厳な法悦が他にあろうかと親は思い知る
初めて目を開かれ浄化された魂は天上の光に向かい
感謝感激に包まれ昇華を始める
かほどに安らかな位相に到達した事がかつて一度でも
かほどに甘美な達成感に浴した事が一度でもあったろうか・・・
何者もこの魂の深奥で体験される崇高な瞬間を遮る事は出来ない
温かな会堂の柔らかい床から立ちのぼるウンコの匂いに
しばし引き戻されはしても

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