長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
ある新鮮な歓喜が2人の間で育つのに目を細め
この先20年間の暫定契約(タダ働き・期限延長有り)に縛られた1組の苦力は
更なるよき家庭生活の構築に忙殺される
つまり彼らがちっぽけな我々から受け取る対価は
人生全般の空虚を糊塗するに余りある大義名分という奴だった
血と火で歴史を綯(な)う王侯貴族と同じく子孫を残す必要性が
我々の低劣な遺伝子にも動かし難く存在する
継承すべき領地や財宝も無く
ささやかな納税者としての存在価値以外は
予め万人にとって石ころほどにも無意味な墓碑銘でしかない我々は
せめて駄犬の血統を絶やさぬよう
精一杯の養育費と教育費を遺伝子継承者に注ぎ
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