長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
 
とか啼きながら
家計家政の圧迫者として君臨する
睡眠不足の若夫婦はもはや
この水太りした肉団子の為には命さえ差し出す所存
旦那は小遣いと夕食のおかずを減らされ
夜ごとの「赤ちゃんごっこ」も取り上げられ
外出もままならぬ女房は些かの締まりを失ったばかりか
フェロモンをもごっそり失ってオナベのようなみっともなさだが
一向気にする気配もない
子育てこそは人生最大の娯楽
家族で共有する時空こそが人生の最も重要なステージであると知らされた男女に不満のあろう筈がない
(味覚とスリルに於いて既に彼らは男と女ではないが)
互いに対する欲求不満は根深くなって行きつつも
それを覆って余りある
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