長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
 
不愉快極まりない産道を
へしゃげながらやっと出てきた我々には特段
後ろ暗い過去も腹黒い意図も無かったが
医者にはやおら逆さ吊りにされて尻をぶっ叩かれ
両親にはしげしげと赤紫の手ゆび足ゆびを点検されたものだ
親達は子蛸さながらの醜い新生児に自分との類似点を何とか探し出してから
ようやく安んじて我が子を愛し始める
たとえ角や牙が生えていたとしても、大方のローズマリーは愛しく思うものらしいが
重ね重ねも、我が子ならば、だ

俄かに動物じみた母性本能の虜となった債務者達に
めざましい発育で日々応え魅力をふりまき
アイドルさながらチヤホヤされて債権者は
ベッドの中でアーとかグーとか
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