長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
 

掻爬された胎児の残骸は
ホーロー引きかなんかの蓋付き容器にまとめられ
裏口からひんやりと胞衣(えな)屋の汚水槽へ消えるだろう
法外な処置料は健保の還付がきかないが、リカバリーはできる
新陳代謝と慣性なる抗生剤によって母胎の傷もいずれは癒える
一方、これが働き者を捕まえておく唯一の手段ではある


かくして我々は大量のミルクとオムツの消費者として
夥しいヨダレと糞尿にまみれる新生活を始めるに当たって
怨伽阿(おんぎゃあ)
まずは抗議の泣き声を上げて誕生した!
ぬるぬるした温水の小惑星の爆発と共に子宮口に頭を挟まれ
かつて父親がスピーディーに出入りしていた不愉
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