乱視/手乗川文鳥
る部屋を走り回って私は模様を追いかける
その向こうに彼女がいてほほえんでいる/手にはきっと甘露飴を持っていてそしてわたしはそれを受け取る/いつものように/やっぱりおいしくないなと思いながら/舐めて/おいしいと言う/彼女も飴を口に含む/棺の底で冷えていく/彼女の言葉を/わたしは/聞き取ることが/できなかった//
とても安らかな骨
とてもしずかないくさがあって
とてもしずかに、人は殺され、焼かれ、灰になった、
そしてしずかに、人が泣いて、怒り、人を殺した、
指で、弦を弾くように、人が跳ね飛び、人に巻かれて、人を欺き、人を罵倒した、
しずかな戦争、しずかな裏切り、しずかな強奪、
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