幽婉で華奢な迷子/ayano
 
で抜けた睫毛だとは知らないのです。涙はともだちが食べてくれて、おいしいと言ってくれたから、胸がとくとくん鳴りました。


ともだちは進むのが早いから、あっという間に遠く届かなくなりました。追い掛けることが出来ず、ぐるぐる廻ってた。涙を食べてくれるものと離れ離れになって垂れ流しの全てを美しくしてる間はありませんでした。そんなとき自分の体にひとりの人間ができました。森や花、鳥、土が生まれていたのに、また新しいのが完成しました。なんだか涙がたっくさん出ました。ともだちがいなくなった自分と、ひとりの赤子はともだちになれないか、考えました。考えましたが、赤子は震えるばかりでした。


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