アパート/番田 
 
人から見える位置で
マイクを握りしめていた
そこで 儚い夢を 見ていた
ぼんやりと 私は 微笑んでいた
いつも 流れ出した 遠い 世界で


いつも 流れ出した 遠い 世界で
そう 私は 何者でもないのだろう
コンビニでレジを打っていると
寂しい音が 体を 突き刺した
アルバイトであるこの私としての体が漂う



身分証明書を 私は いつも 懐に 持っていた
風の中で 私は それを 見た
透明な輝きのビニール袋を手にした
思う色に それを 塗り上げながら
衰退し始めた この 思いを
ひとり 私は そこで 省みる
色々な色が 辺りには 散らばっていた

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