アパート/番田
人から見える位置で
マイクを握りしめていた
そこで 儚い夢を 見ていた
ぼんやりと 私は 微笑んでいた
いつも 流れ出した 遠い 世界で
いつも 流れ出した 遠い 世界で
そう 私は 何者でもないのだろう
コンビニでレジを打っていると
寂しい音が 体を 突き刺した
アルバイトであるこの私としての体が漂う
*
身分証明書を 私は いつも 懐に 持っていた
風の中で 私は それを 見た
透明な輝きのビニール袋を手にした
思う色に それを 塗り上げながら
衰退し始めた この 思いを
ひとり 私は そこで 省みる
色々な色が 辺りには 散らばっていた
そ
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