正月の街の幻想/番田 
 
も存在するという事も忘れさせられている。私は探していたものは見つからなかったので、ため息をついて、店外に出て寒い風の吹く中をダイエーを目指して歩いていった。私はこうして詩や文といった物を書いたりしてはいるけれど、正直本に特別興味を持っているというわけでもなかった。持っている本もごくわずかといったものだった。詩を書いていますとは言っても、あまり作家についての話しは人にできないといった矛盾した人間でもあった。しかしそういった矛盾というのは少なからず人の中には存在するような気もしている。例えばサッカー選手がボクシングの観戦が好きであったり、ロックンローラーがアイドルのことが好きであったりもするように。い
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