正月の街の幻想/番田
の人気のラーメン屋はシャッターを下ろしていた。人もまばら。ブックオフでタイムセールをやっていたけれど、正月に読みたくなる本などなく、CDのほうでむしろそれをやっていてもらいたかったのにと思った。この年ではマンガも本も読む気力もなくしていて、雑誌も右に同じだった。誰も彼もがそういったタイムセールに心を奪われ、パチンコ屋の人々のように彼らの姿を思わされた。私は多分ネットで買った方が楽で、確かな物が手にはいるような気がさせられた。誰もがそういった時間の制約の中では歯止めがきかなくなってしまうものである。限られた時間の中で書物を探すための疲労も増すであろうし、それによって奪われてしまう貴重な正月の時間も存
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