馬鹿は死ななきゃ治らない/虹村 凌
 


月明かりに濡れた操車場も人気の無い工事現場の駐車場にも行かなかった
夜の金網も越えずハックルベリーにも会わなかった
明日を垂直に考える事も無く
何度も眠るのだ
朝まで待てば何とかなると
ケリがつくだろうと
そう期待して眠る

殺したくなるような夕暮れの色みたいな日々
あの頃に夢見た立派な大人にはなれなかった
それでもあの頃に輝いて見えた七色の未来の一つのうちのどれかなのだろう
信じるとか信じないとか勝ち負けとか
そういうものからかけ離れていまここにいる
上に離れているのか下に離れているのか
横に離れているのか
その真ん中なのかもわからない

何かに追いつめら
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