貯金/yumekyo
 

漸くにして傷が癒えて
レールによじ登ったとき
自力で駆けるしかない事に気付いた
ふと見れば同じようにレールによじ登って
遥かな高嶺にめがけて駆け出す人影があった

駆けて 駆けて
駆けて駆けて駆けて駆けて
昼も夜もひたすら駆けて
駆けて 駆けて
駆けて駆けて駆けて駆けて
秋霜の日も酷暑の日も砂嵐の日も土砂降りの日も駆けて
駆けて 駆けて
駆けて駆けて駆けて駆けて
通り過ぎていった列車の灯にもう一度見えんとして
駆けて 駆けている

仲間と共に
一緒に流した 汗の思い出
一緒に笑った フレームの堅さ
一緒に勝ち取った 栄
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